大庭のエッセイ


「自治体における地球温暖化対策」


今年の夏も異常な暑さだった。
 8月初旬、私の地域でも39度を超す日があり、その体温以上の暑さの中、たまたま屋外作業の依頼をされ、炎天下における仕事が長時間に及んだことから、私自身脱水症状を覚え、ひと夏の経験ならぬ猛暑の怖さを経験することとなった。
 ところで、今夏の暑さの原因は、「ダイポ−ルモード現象」と呼ぶらしく、いわゆる、インドからアフリカ東岸にかけては洪水や干ばつを、また、極東アジア全体にも異常気象がもたらされるというもので、近年では、1994年と1997年に発生し、とくに1994年の夏には、日本もこの影響で記録的な猛暑になったが、実は今年もこれが原因したというものだ。
確かに、暑さの原因が数年に一度のこうした現象がもたらしているであろうということも事実とは思うが、どうも近年の夏の暑さはこうした一過性の現象のみならず、私は「地球が恒常的に温暖化してきている」、このことが本質的な原因のような気がしてならない。
 今年4月環境省でも、地球温暖化により過去100年では日本の平均気温が1度上昇していることが発表された。その裏付けとして、
   @桜(ソメイヨシノ)の開花日が、過去50年で5日早まった。
   A北海道で低温を好むヒダカソウなどの植物が減少している。
   B九州、四国が北限だったナガサキアゲハが1990年代に三重県に北上している。
 などの各種の現象を挙げての、「温暖化はすでに進行している」との結論付けだったが、たった1度の平均気温の上昇でこれほどの変化が現れるとなると、今後100年、環境省が予測している南日本で4度、北日本でも5度上昇することとなれば、日本列島も我々が想像する以上に大きな環境変化となり、今夏の暑さなど比較にならない夏とこれからは毎年お付き合いしていくことになるのだと思うと憂鬱にさえなってくる。

 さて、こうした温暖化問題が地球にもたらす影響(生態系・食糧・健康・海水面上昇等)は深刻で、対策は地球規模で論じられてきていることは言うまでもない。
 これまで1992年の地球サミットでは、「持続可能な開発のための人類の行動計画」(アジェンダ21)、や「国際連合気候変動枠組み条約」が採択されている。また。我が国においても1993年環境基本法を施行し、1994年、環境基本計画を策定するなど、環境政策を総合的、計画的に推進する枠組みが明らかにされている。1997年、京都会議においては、温室効果ガス削減を1990年を基準年とし、2008年〜2012年で6%削減目標を打ち出している。さらに我が国ではこれを具現化すべく、1999年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定され、温暖化防止のための諸施策を国、地方公共団体、事業者、住民のそれぞれ責務を定め推進してきている。
 実は私ども袋井市においても、こうしたトレンドを受け、小都市と言えど地球規模の環境を考えての「袋井市地球温暖化対策実行計画」(エコアッププラン)を今年3月策定した。
 概要については、2001年〜2005年までの5年間を計画期間とし、1999年を基準年次とし、推進するもので、本市の場合で二酸化炭素(CO2)を7,216tを433t(6%)削減しようとするものだ。その他にも、電気をはじめ各種燃料、水使用、紙使用等々のそれぞれの目標を定めて「温室効果ガスの抑制」をしていくことにしている。
 いずれにせよ、これは、本市の例に過ぎないが、全国の自治体においても計画策定するもので、まちの取り組みに温度差こそあれ、全国の地方公共団体が同じ地球を思う視点に立って第一歩を歩み始めたと言える。今私たちが出来る地球温暖化対策、それは、「一人一人の住民の意識の改革」しかない。毎日の生活の中で、自分が決めて何か1つでも継続出来る取り組み、そのことが今求められているのだと思う。  2001.9



詳細はohba@mxu.mesh.ne.jpまで。


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